メモリの確保処理(オブジェクトの確保処理)は, 以下の4つのバイトコード命令で行われる.
どの場合にも, 解放処理には高速な fast-path と低速な slow-path がある. まず fast-path が試され, それが失敗すると slow-path の処理が行われる.
fast-path でメモリ確保に成功している間は GC は実行されない. fast-path で成功せず, さらに slow-path でも確保に失敗すると, メモリ不足と認識されて GC が実行される.
fast-path 及び slow-path の前半部分は, インタープリタ種別や JIT 種別に応じてコードが異なる. また, slow-path の後半部分は, 使用する GC アルゴリズム毎にコードが異なる. slow-path の中間部分だけは, どのケースでも共通のコードが使用される.
なお JNI 等でのメモリ確保処理については別項参照 (See: here for details).
基本的にはどの場合も以下のような流れになる. "1." の fast-path が失敗した場合にのみ, "2." 以降の slow-path 処理が行われる.
fast-path でのメモリ確保処理が行われる. 行われる処理自体はインタープリタ種別や JIT 種別に応じて異なる. また CPU に応じても異なる.
(<= fast-path が存在しているのは new バイトコードの処理パスのみ? #TODO)
確保に失敗した場合は slow-path 1 にフォールバックする.
各種の Runtime クラスから slow-path 用のメモリ確保関数が呼び出される. 使用される Runtime クラスはインタープリタ種別や JIT 種別に応じて異なる.
確保に失敗した場合は slow-path 2 にフォールバックする.
なお Runtime から呼び出される関数は, バイトコード種別毎に異なっており, それぞれ以下の通り.
* new バイトコード命令: instanceKlass::allocate_instance()
* newarray バイトコード命令: oopFactory::new_typeArray()
* anewarray バイトコード命令: oopFactory::new_objArray()
* multianewarray バイトコード命令: arrayKlass::multi_allocate()
以上の処理で確保に成功しなかった場合, どの処理パスでも最終的に CollectedHeap::common_mem_allocate_init() が呼び出される.
この中で, 以下の slow-path 3 と slow-path 4 がこの順に実行され, 確保が試みられる.
(この処理は UseTLAB オプションが指定されている場合にのみ実行される)
UseTLAB オプションが指定されている場合, TLAB からの確保が試みられる. なお, TLAB の空き容量が足りなければ, 新しい TLAB を確保する処理も行う.
以上の処理で確保に成功しなかった場合, どの処理パスでも最終的に CollectedHeap::mem_allocate() が呼び出される.
このメソッドは, 必要があれば Garbage Collection を実行してメモリ確保を行う. なお, このメソッドは各 CollectedHeap のサブクラスでオーバーライドされているため, この処理は GC アルゴリズム種別によって異なる.
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