DirtyCardQueue クラス関連のクラス (CardTableEntryClosure, DirtyCardQueue, DirtyCardQueueSet)

これらは, G1CollectedHeap 使用時における Garbage Collection 処理用の補助クラス. より具体的に言うと, Barrier Set の働きを補佐するためのクラス (= Remembered Set を適切に維持するためのクラス) (See: here and here for details).

クラス一覧(class list)

DirtyCardQueue
DirtyCardQueueSet
CardTableEntryClosure

DirtyCardQueue

概要(Summary)

Barrier Set の働きを補佐するための (= Remembered Set を適切に維持するための) PtrQueue クラス (論文中では "remembered set log (RS log)").

Java プログラムによってポインタフィールドが変更された際には, Barrier Set が dirty 化されるとともに, このキューに「どこを dirty にしたか」という情報が記録される (See: here and here for details).

    ((cite: hotspot/src/share/vm/gc_implementation/g1/dirtyCardQueue.hpp))
    // A ptrQueue whose elements are "oops", pointers to object heads.
    class DirtyCardQueue: public PtrQueue {

使われ方(Usage)

使用方法の概要(how to use)

write barrier 処理の中でキューにポインタが追加される (なお, 追加されるポインタは「変更箇所に対応する card のアドレス (= card table 中の位置)」).

キューが一杯になった場合は DirtyCardQueueSet::handle_zero_index_for_thread() が呼び出され, 一杯になったキューが DirtyCardQueueSet に登録されるとともに, 新しいキューが用意される.

インスタンスの格納場所(where its instances are stored)

以下の箇所に(のみ)格納されている (ポインタ型ではないフィールドの一覧).

各 JavaThread オブジェクトの _dirty_card_queue フィールド

write barrier 処理でポインタが記録されるフィールド (= そのスレッドが変更したポインタを格納するキュー).

各 DirtyCardQueueSet オブジェクトの _shared_dirty_card_queue フィールド
各 G1ParScanThreadState オブジェクトの _dcq フィールド

生成箇所(where its instances are created)

以下の箇所で(のみ)生成されている (ただし, 後ろの 3つは局所変数としての生成なので一時的なオブジェクト).

(JavaThread クラスの _dirty_card_queue フィールドは, ポインタ型ではなく実体なので, JavaThread オブジェクトの生成時に一緒に生成される)
(DirtyCardQueueSet クラスの _shared_dirty_card_queue フィールドは, ポインタ型ではなく実体なので, DirtyCardQueueSet オブジェクトの生成時に一緒に生成される)
(G1ParScanThreadState クラスの _dcq フィールドは, ポインタ型ではなく実体なので, G1ParScanThreadState オブジェクトの生成時に一緒に生成される)
G1CollectedHeap::remove_self_forwarding_pointers() 内 (局所変数として生成)
G1RemSet::oops_into_collection_set_do() 内 (局所変数として生成)
G1RemSet::prepare_for_verify() 内 (局所変数として生成)

詳細(Details)

See: here for details

DirtyCardQueueSet

概要(Summary)

DirtyCardQueue クラス用の PtrQueueSet クラス.

    ((cite: hotspot/src/share/vm/gc_implementation/g1/dirtyCardQueue.hpp))
    class DirtyCardQueueSet: public PtrQueueSet {

使われ方(Usage)

インスタンスの格納場所(where its instances are stored)

以下の箇所に(のみ)格納されている (ポインタ型ではないフィールドの一覧).

JavaThread クラスの _dirty_card_queue_set フィールド (static フィールド)

各 JavaThread オブジェクト内の ObjPtrQueue から共有されている)

各 G1CollectedHeap オブジェクトの _dirty_card_queue_set フィールド (「各」と言っても1つしかいないが...)

処理を後で行う(遅延する)ポインタを格納しておくためのキュー (See: G1DeferredRSUpdate).

各 G1CollectedHeap オブジェクトの _into_cset_dirty_card_queue_set フィールド (「各」と言っても1つしかいないが...)

生成箇所(where its instances are created)

以下の箇所で(のみ)生成されている.

(JavaThread クラスの _dirty_card_queue_set フィールドは, ポインタ型ではなく実体なので, 初期段階で自動的に生成される)
(G1CollectedHeap クラスの _dirty_card_queue_set フィールドは, ポインタ型ではなく実体なので, G1CollectedHeap オブジェクトの生成時に一緒に生成される)
(G1CollectedHeap クラスの _into_cset_dirty_card_queue_set フィールドは, ポインタ型ではなく実体なので, G1CollectedHeap オブジェクトの生成時に一緒に生成される)

詳細(Details)

See: here for details

CardTableEntryClosure

概要(Summary)

DirtyCardQueue クラス用の補助クラス.

DirtyCardQueue 内の card に対して何らかの処理を行う Closure クラスの基底クラス (より正確に言うと, 「card のアドレス (= card table 内を指すポインタ)」に対して何らかの処理を行う Closure). なお, このクラス自体は abstract class であり, 実際に使われるのはサブクラス.

(なお, "Closure" という名前だが StackObj ではなく CHeapObj クラスになっている. このため, スタック以外の箇所に確保する使い方も可能)

    ((cite: hotspot/src/share/vm/gc_implementation/g1/dirtyCardQueue.hpp))
    // A closure class for processing card table entries.  Note that we don't
    // require these closure objects to be stack-allocated.
    class CardTableEntryClosure: public CHeapObj {

使われ方(Usage)

使用する際には, do_card_ptr() メソッドをオーバーライドしたサブクラスを作ればいい.

    ((cite: hotspot/src/share/vm/gc_implementation/g1/dirtyCardQueue.hpp))
      // Process the card whose card table entry is "card_ptr".  If returns
      // "false", terminate the iteration early.
      virtual bool do_card_ptr(jbyte* card_ptr, int worker_i = 0) = 0;

詳細(Details)

See: here for details

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